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日本軍の捕虜収容所は本当に「奴隷」収容所だったのか? 英国人元捕虜が語る大森捕虜収容所の実体『英国人捕虜が見た大東亜戦争下の日本人』


英国人捕虜が見た大東亜戦争下の日本人



数年前、アンジェリーナ・ジョリー監督の映画『Unbroken』が日本でも話題となった。その主人公で、元五輪米国代表選手だったルイス・ザンペリーニがいた大森捕虜収容所が、本書の主な舞台である。『Unbroken』の原作者は、大森捕虜収容所は「奴隷収容所」だったと言い、映画でも原作同様の悲惨な捕虜の状況、日本人の非人道性が描かれていた。
本書でも、その同じ大森捕虜収容所が描かれているのに、その印象は全く異なる。日本人と捕虜は、主人と奴隷の関係にあるようには全く見えないのだ。


大森捕虜収容所(現平和島競艇場)に着いた捕虜たち



元英国人捕虜だった著者のデリク・クラークは、シンガポールから台湾に着いた時、貨車ではなく客車で収容所に送られたことに驚き、赤十字の慰問箱を日本軍は一つも盗むことなく捕虜に渡したことを、極めて公正な態度だったと高く評価している。


台湾の台中捕虜収容所で不寝番の捕虜が状況を報告



大森捕虜収容所で捕虜演劇会が開催される日、作業現場の親方たちが、普段面倒を見ている捕虜の晴れ姿を見るために、家族をつれて捕虜の兵舎に顔を出す、といった話もある。また、芝浦で捕虜の労働監視に動員されていた中学生が、絵の得意なクラークに卑猥な絵を依頼する話では、貨車の側面にクラークが絵を描き始めると、他の捕虜や日本人の運転手もやってきて、どぎついアドバイスをし、絵が完成すると皆笑顔で絶賛、そのあと仕事が始まる、といった具合である。そこには鬼のような日本人と、一方的に虐げられる捕虜、といった、よく耳にするような関係は見出せない。


貨車から荷下ろし作業する捕虜たちと現場監督の日本人



日本軍は、輸送船上や作業現場で亡くなった捕虜を丁重に弔っていることも描かれている。

このように、日本軍が捕虜を公正に扱い、十分配慮していたことがわかる記述も多い。だが著者は決して親日の立場にあるわけではなく、逆に批判的である。それが、それらの話に真実味を与えている。

あまりにも一方的に日本人の非道が描かれることの多い捕虜問題であるが、本書はより現実に近い大森捕虜収容所の内実が描かれており、捕虜と日本人の本当の関係を知る上で、非常に貴重な史料といえる。


冬の朝、木炭トラックに乗って大森から芝浦の作業現場に向かう捕虜たち



【目次】
訳者まえがき
序文

第1章 冒険始まる
第2章 新世界
第3章 赤道祭
第4章 植民地
第5章 アジアの女帝
第6章 シンガポール沖の海戦
第7章 制空権なき戦い
第8章 大要塞陥落
第9章 人生最大の幸運
第10章 大日丸、台湾へ
第11章 モスキート
第12章 石垣の向こう側
第13章 芸術家
第14章 慰問箱
第15章 脱走兵
第16章 死への誘い
第17章 日出づる国へ
第18章 大森捕虜収容所
第19章 ビーチの仕事
第20章 クリスマスの願い
第21章 バード
第22章 小名木川
第23章 太る隅田川
第24章 芝浦
第25章 新入り
第26章 超空の要塞
第27章 シンデレラ
第28章 東京大空襲
第29章 悲しい光景
第30章 仕事と芝居
第31章 悲劇と喜劇
第32章 タバコ泥棒
第33章 川崎の地獄
第34章 南京虫
第35章 新型爆弾
第36章 冒険終わる

訳者あとがき

訳注
デリク・クラーク世界一周の軌跡
訳註参考文献・サイト



昭和20年の冬、記録的な積雪の芝浦で、
石炭を貨車からかき出す作業をする捕虜たち




【書籍情報】
書名:英国人捕虜が見た大東亜戦争下の日本人─知られざる日本軍捕虜収容所の真実
著者:デリク・クラーク(Derek Clarke)
翻訳:和中 光次(わなか みつじ)
仕様:四六並製・300ページ
ISBN:978-4802400695
配本:2019.02.27
本体:1800円(税別)
発行:ハート出版
書籍URL:http://www.810.co.jp/hon/ISBN978-4-8024-0069-5.html
[ネット書店でのご購入はこちら]
アマゾン:https://www.amazon.co.jp/dp/4802400691/
楽天ブックス:https://books.rakuten.co.jp/rb/15837717/
セブンネット:https://7net.omni7.jp/detail/1106967949






【著者】デリク・クラーク(Derek Clarke)
1921年8月生まれ。イングランド出身。セイクレッド・ハート・カレッジに進学。
子供の頃からキプリングの冒険小説に憧れ、世界中を冒険したくて英陸軍に入隊。シンガポール陥落後、日本軍の捕虜となる。絵が得意なクラークは、プロパガンダ要員として東京の大森捕虜収容所に送られるも採用されず、品川区の勝島、江東区の小名木川駅、南千住の隅田川駅、そして港区の日の出埠頭や芝浦埠頭で労働する日々を過ごした。本書では収容所、作業現場、そして空襲の体験を克明かつ正確に綴っている。
戦後は、オックスフォードシャー州テームにアトリエを構え、そこで妻ジョアンと暮らしながら、プロのアーティストとして活躍。ビール会社サミエル・スミスが経営するパブの看板デザインなどを担当した。2000年12月に79歳で他界。

【翻訳】和中 光次(わなか みつじ)
工業系の大学を卒業後、システムエンジニアとして勤務しながら、海外の貴重な英語文献などを、数多く日本に紹介してきた。



  1. 英国人捕虜が見た大東亜戦争下の日本人
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